【住宅展示場こそDXの起点に】属人化・アナログ営業からの脱却

世の中が急速に進化する一方で、住宅業界はその流れから取り残されているように感じられます。
モデルハウスでアンケートに記入してもらい、その個人情報をもとに個別セールスを行う。あるいは、来店予約や資料請求をきっかけに営業活動へとつなげていく——こうした手法は、今もなお多くの現場で主流となっています。最近では減りつつあるものの、直接訪問による営業が行われているケースも少なくありません。
また、打ち合わせ内容をめぐる「言った・言わない」「聞いていない」といった認識のズレが、営業・工事現場・施主の間で発生しやすいのも現状です。こうした小さな行き違いの積み重ねが、住宅業界が“クレーム産業”と呼ばれてしまう一因になっているのかもしれません。
目次
住宅業界DXが進まない背景とは|現場に残る5つの問題点
①アナログ前提の業務フローが残っている
モデルハウス来場者の記名や資料請求を起点とした顧客獲得など、直接的な営業手法が今も主流となっています。
また、専門性が高いがゆえに「現場対応主義」に偏りやすく、業務の多くが対面・口頭で進められているのが実情です。その結果、情報が記録・共有されにくい構造が温存されています。
②「住宅は特殊だからDXは難しい」という思い込み
住宅は一棟ごとに仕様が異なるため、既製品を販売する他業種のように画一的なやり方はできない——そう考えられがちです。
しかしその認識が、「デジタル化できないこと=住宅業界の良さ」といった誤解を生み、DX化への取り組みを遠ざけてしまっています。
③ 営業・現場の個人スキルに過度に依存している
営業成績と報酬が直結しているため、情報やノウハウを個人が抱え込んでしまうケースも少なくありません。
苦労した経験や成功・失敗事例が共有されず、成果や期待が「できる営業」「ベテラン監督」に集中することで、担当者によって対応品質に差が生まれてしまいます。
④ 顧客データが十分に活用されていない
ユーザーデータが「購入したか・しなかったか」という二択で捉えられ、顧客にならなかった層へのフォローや、そのデータの重要性が軽視されがちです。
本来であれば、こうしたデータこそが今後の改善やブランド価値向上につながる重要な資産となるはずです。

⑤DX投資が「コスト」として捉えられている
DXは本来、自社に合った形を見つけ、将来の成長につなげるための投資です。
しかし「費用がかかるから余裕ができてから」「大手企業がやるもの」と後回しにされ、どこか他人事として捉えられてしまうケースも少なくありません。その結果、DX化に必要な費用が“余分なコスト”として扱われてしまっています。
住宅業界DXの理想像|効率化ではなく価値向上を目指す理由
① DXの目的は「効率化」ではなく「価値向上」に置く
効率化とは、現在の成果をより少人数で生み出す、あるいは同じ人数でより多くの成果を出すことを指します。工場生産などでは分かりやすい考え方ですが、住宅業界において単純な効率化だけを追求しても、会社の将来性には直結しません。
大切なのは、自社の住宅がユーザーにとってどれだけ価値のあるものか、そして自社が「選ばれる会社」であることを示すことです。そのためにDXを活用していく必要があります。
- ユーザーデータの蓄積 → 的確なフォローによる信頼感・イメージ向上
- 打ち合わせ履歴の可視化 → 情報共有による提案力・対応品質の向上
- 業務の標準化 → 行動品質の安定化
DXは単なる業務改善ではなく、売上・満足度・信頼を高めるための手段なのです。
②すべてをDX化せず「小さく始める」
DXは、できるところから段階的に進めることが重要です。
突然すべての業務を変えてしまうと、「面倒そう」「今まで通りでいいのでは」といった心理的な抵抗が生まれ、かえってDXが進まなくなる可能性があります。
例えば、モデルハウスでの集客にDXの第一歩を取り入れ、既存のユーザー層に加えて新しい層との接点をつくる。そこで得られたデータを取得・分析・対応してみることから始めてみてはどうでしょうか。
「1業務・1課題」から取り組むことが、DX成功への近道です。
③ データを「集める」から「活かす」へ
ユーザーデータは、集めて終わり、集計して終わりでは意味がありません。
どのような分析を行い、自社にとって有益な情報を引き出せるかが重要です。
契約に至った顧客だけでなく、交渉途中で離脱したユーザーや、そもそも接点を持てなかった層についても、原因分析と改善策につながるデータの収集・分析方法を確立する必要があります。
顧客にならなかったユーザーであっても、その周囲の人への認知やイメージ向上につなげることができれば、長期的には大きな成果を生み出します。
④属人化を減らし、「仕組み」で品質を守る
属人化とは、特定の担当者しか業務内容やノウハウを把握・管理しておらず、周囲と共有されていない状態を指します。ユーザーは担当者個人と契約しているのではなく、「会社」としての対応を求めています。担当者一人と連絡が取れないだけで業務が滞るようでは、会社としての品質が疑われかねません。
重要なのは、「個人」ではなく「チーム」で対応する体制をつくること。そのためのDXです。
現在はさまざまなグループウェアがあり、情報共有は容易になっています。単なる連絡ツールにとどめず、ノウハウを蓄積し、自社の強みを高める仕組みづくりが求められます。

⑤経営層が「DXは経営戦略」と捉える
DXは、営業・工事・事務といった各部門の業務改善にとどまるものではありません。会社の将来を左右する経営戦略そのものです。
いつから、何を、どのように始め、どのような成果を目指すのか。部門任せやIT担当者任せにせず、会社全体の方針として考え、社員に浸透させていく必要があります。
最初から完璧を目指す必要はありません。自社に合った形を、社員と一緒につくり上げていく姿勢が大切です。社員の意識を一つにまとめ、DXを前に進められるのは、経営層の強い意志にほかなりません。
住宅業界DXのゴールとは?人を減らさず競争力を高める考え方
人を減らすことでも、デジタル化そのものを目的とすることでもありません。
住宅業界DXのゴールは、「限られた人材で、より良い家づくりと顧客体験を提供すること」にあります。
裏を返せば、今からでも正しくDXに取り組めば、企業規模に関係なく競争力を持つことができるということです。それこそが、住宅業界DXの本質と言えるでしょう。

モデルハウスDXの第一歩|“体感して確信する”スマート見学という選択
変化するユーザー層を的確に捉え、既存のモデルハウスという資源を最大限に活かしながら、データ収集と自社ブランドの浸透を図る。その取り組みとして、「住まポ」を活用した「スマート見学」は非常に有効な手段と言えます。
スマート見学では、幅広い層のユーザーが気軽にモデルハウスを見学できるため、新築を検討していない層を含めた多様なユーザー動向の把握が可能になります。こうしたデータは、今後の営業活動やマーケティング施策、さらには次のDX施策へとつながる貴重な情報となります。
「住まポ」は、住まいづくりの入口としてユーザーにとって利用しやすく、DXの第一歩として低コストで導入できる点も大きな特長です。取得した情報を社内で共有し、チーム全体でフォローしていくことで、属人化を防ぎながら対応品質の向上にもつなげることができます。
モデルハウスで“体感し、納得する”機会を提供しながら、無理なくDXを進めていく手段として、「スマート見学」を検討してみてはいかがでしょうか。

