【住宅業界の今後】生き残る会社が実践している4つの戦略

住宅業界は現在、これまでにない大きな変革期にあります。
少子高齢化・人口減少といった構造的な課題に加え、建築資材価格の高騰、人手不足、金利の高止まりなど、事業環境は年々厳しさを増しています。
こうした状況下では、従来のように「着工戸数を増やす」「新築を数多く売る」といった量を重視したビジネスモデルは通用しにくくなっています。今、住宅会社には新たな価値提供と戦略転換が求められているといえるでしょう。
目次
新設住宅着工戸数の減少が意味するもの
新設住宅着工戸数は、長期的に減少傾向にあります。国土交通省の統計をもとにした推計によると、2024年度の新設住宅着工戸数は約82万戸ですが、2030年度には約80万戸、2040年度には約61万戸まで減少すると見込まれています。これは、約15年でおよそ25%減少するペースです。
特に持家や分譲住宅の着工戸数は縮小し、貸家の比率が相対的に高まる傾向が予測されています。
この数値は、住宅会社にとって「新築受注の絶対的な需要が減少していく」ことを示す重要なシグナルです。かつてのように、着工戸数の増加だけを前提とした売上拡大戦略は、もはや通用しなくなっています。
さらに、人口構造の変化により世帯数の伸びも鈍化しており、特に地方圏では住宅需要そのものが縮小する地域が増えています。市場全体のパイが小さくなる中で、従来の「新築一辺倒」のビジネスモデルは限界を迎えていると言えるでしょう。
新築縮小を補う中古住宅・リフォーム市場の拡大
新築市場が縮小する一方で、中古住宅(既存住宅)やリフォーム市場の存在感は着実に高まっています。国土交通省のデータによると、既存住宅の流通量は近年増加傾向にあり、住宅全体の流通に占める割合も上昇しています。直近では、既存住宅流通のシェアは約40%に達し、新築と比較しても無視できない市場規模となっています。
また、中古住宅の買取再販事業、いわゆるリノベーション住宅の供給も拡大しています。2014年には約2.1万戸だった市場規模は、2025年には約4.5万戸まで成長すると見込まれており、年々その存在感を増しています。
リフォーム市場も、将来的に縮小が見込まれる新築需要を補う重要な分野です。野村総合研究所の推計によれば、リフォーム市場の広義の市場規模は今後も緩やかな成長を続け、2040年には約9兆円規模に達すると予測されています。
これらの市場は、新築住宅の着工戸数とは異なる性質の需要を持っています。たとえば、「住み替え」ではなく、「既存住宅の性能向上」「省エネ改修」「バリアフリー化」「資産価値の再創出」といった多様なニーズが生まれています。こうした動きは、住宅会社にとって新たな収益の柱となるだけでなく、顧客との接点を増やす大きなチャンスでもあります。

生き残る住宅会社に共通する4つの特徴
こうした市場環境の変化を踏まえると、今後の住宅会社には、次のような力が求められます。
自社の強みを明確にし、差別化する力
これまでの住宅会社は「何でもできる」ことが強みとされてきました。しかしその一方で、顧客からは「他社との違いが分かりにくい会社」と映ってしまうケースも少なくありません。
これからの時代は、自社の強みを明確に打ち出し、「選ばれる理由」をはっきり示せる会社が支持されます。
たとえば、高断熱・省エネ住宅に特化した設計力、都市部でのコンパクト住宅提案、リノベーションと新築を組み合わせた柔軟な提案力など、他社との差別化ポイントが明確な会社ほど、顧客から選ばれやすくなります。
顧客ニーズの変化を深く理解し、最適な提案ができる力
現在の住宅購入者は、WebやSNSを通じて事前に多くの情報を収集しています。そのため、従来のような一方的な営業トークだけでは、信頼を得ることは難しくなっています。
顧客一人ひとりの価値観やライフスタイルの変化を理解し、共に最適な住まいを考える姿勢が重要です。さらに、実際に体感し、納得してもらえる場へと自然に導く提案力が求められます。
これは特に、「新築・中古・リノベーション」という複数の選択肢を含めて最適解を導く力として重要なポイントです。
顧客データの収集・活用を仕組み化する力
今後、住宅会社が生き残るうえで欠かせない要素の一つが、顧客データの収集と活用を仕組みとして確立することです。
単に名簿を集めるのではなく、顧客属性や検討段階、関心テーマ、過去の反応などを総合的にデータ化し、CRM(顧客関係管理)として活用することで、次のような成果が期待できます。
- 顧客の購買プロセスに合わせた最適なアプローチが可能になる
- 新築・中古・リフォームのどの提案が効果的かを分析できる
- 顧客満足度の向上やクロージング率の改善につながる
- 顧客データは単なる名簿ではなく、会社の重要な戦略資産であり、戦略的に活用することで、縮小する市場でも効率的な受注拡大を実現できる
そのためにも、幅広いニーズを持つユーザー層にアプローチし、データを継続的に収集できる仕組みづくりが重要になります。
新築とストック(既存住宅・リフォーム)を両立する戦略
新築に加え、中古住宅の流通やリフォーム・再生までをカバーできる会社は、今後の住宅市場において優位性を持ちます。新築だけでは対応できない需要層も多く、多角的なサービス提供が競争力の源泉となります。
また、中古住宅リノベーション事業は、ストック型ビジネスとして長期的な顧客接点を生み出しやすく、アフターサービスや二次提案にもつながりやすいのが特徴です。顧客との関係を長期的に維持できることは、継続受注や口コミ紹介にもつながります。
こうしたユーザーニーズの把握や関係構築は、必ずしも新たなチャネルを用意する必要はありません。既存のモデルハウスを活用することで、費用対効果を高めながら実現することが可能です。そのためにも、新築一辺倒だったモデルハウスの役割を見直し、ワンストップで住まいの相談ができる住宅販促の場として活用していくことが重要になります。

住宅業界の今後を見据えた、変化をチャンスに変える戦略
住宅業界は、着工戸数の減少という明確な逆風に直面しています。しかしその一方で、既存住宅やリフォーム市場の拡大、さらには顧客の価値観の多様化といった、新たな需要も生まれています。
こうした変化を的確に捉え、顧客データを継続的に収集・分析しながら戦略的に活用し、自社の強みを明確に打ち出し、体験を通じて納得感のある価値提供ができる会社こそが、「生き残る住宅会社」です。
単に“量”を追い求めるのではなく、“多様な価値”を提供できる会社が、これからの市場で選ばれ、持続的な成長を遂げていくでしょう。
モデルハウスを最大活用する「スマート見学」という選択
これから変化するユーザー層を的確に捉え、既存の資源を最大限に活用しながら、データ収集と自社ブランドの浸透を進める手段として、「住まポ」を活用した「スマート見学」は非常に有効です。
幅広いユーザーが気軽に見学できるため、新築検討者以外の動向も含めたデータを収集でき、次の提案やアプローチへとつなげることができます。「住まポ」は、住まいづくりの入り口として、ユーザーにとって利用しやすい最適なツールです。

